現地スタッフの声

「教育こそが平和実現の鍵」
ライアン・チュパス氏(フィリピンの現地コーディネーター)

 このプロジェクトは日本の皆さんのイニシアチブと献身、愛を通じて、フィリピンにおいても、今や8年続いています。ご存じのように、フィリピンは第三世界に属しています。極度の貧困のために教育を受けることができない子供たちが何千人も存在します。エンチャイルドの奨学金プログラムは「学校へ通いたい、教育を受けたい」と夢見る子供たちに希望をもたらしています。国を発展させるのと同様に、過去、長い間にわたって待ち望んできた平和を実現させるためには、教育こそが鍵であると私たちは確信します。

 同奨学金プログラムは、現在、ミンダナオ島ブトゥアン市、マニラ市のトンド地区、ケソン市のバランガイ・ホーリースピリット、バランガイ・タタロンなどの地域において広く知られており、わが子がこの奨学プログラムを受けられるようにと願う父母がたくさんいます。

 日本の支援者の皆さんがフィリピンを訪問する間、子供たちが見せる笑顔や、その父母たちが流す涙を見ると、私たちの責任は、毎月の経済支援を行うだけでなく、それ以上のことをしなければならないと、強く感じさせられます。

 それゆえ私たちは、現地でチュートリアル(個別指導)プログラム、奉仕プロジェクト、父母に対する教育活動などを組織しています。

 2010年7月から、毎週土曜日、バランガイ・タタロン、バランガイ・ホーリースピリット、マニラ市のバロット地区とトンド地区の4つのバランガイにおいて奨学生に対するチュートリアルプログラムを始めました。このプログラムは子供たちの英語の読みのスキルや算数のスキル、理科の理解の向上をアシストするものとして編成しています。子供たちが歌やダンスの特技をシェアしながら友情をはぐくむ場にもなっています。チュートリアルプログラムは、惜しみなく他者を愛し、人々の模範となるための良き価値観を子供たちに教える重要なツールになっています。

 子供たちの父母に対しても、毎週日曜日の午後3時~5時の時間帯にミーティングの場を設け、前述の4つのバランガイにおいて、良き父母になるための手助けとなる教育を実施しています。そこでは、平和実現のための理念や責任ある父母になるための講義を学びます。父母たちは奉仕活動にも熱心に取り組んでいます。ケソン市では地域のリーダーが率先し、支援を受ける子供たちの父母と一緒になって清掃プロジェクトを行っています。

 マニラ市のトンド地区においては、給食奉仕プログラムを行い、220人の子供たちが参加しました。このプログラムは飢餓を防ぐだけでなく、与えることや分かち合う精神を広げるために、奨学生の父母の協力を得ながら始めた取り組みです。単なる給食奉仕活動にとどまらず、地域の人々に楽しんでもらう機会となっています。私たちが企画し、ゲームや彼らの特技を披露するショートプログラムなども行います。

 恵まれない子供たちに対し、愛情をもって彼らの内なる才能を育て、導くこのプログラムによって、人々の善意は拡大していくに違いないと確信します。それがやがて、人々の人生を変え、平和な世界をつくりだす機会となっていくことを願っています。

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